EBコートはそんなに薄いのか?
i-Smartの床について調べてみると、避けては通れない問題に直面しました。
どうも「EBコートはあまりにも薄いコート」という誤解があるように見えます。
私自身も、よく調べるまで誤解をしていました。研究者として敵を作るのはわりと慣れっこで、私が理論的な誤りを指摘した論文を出した後に、海外のある研究グループの論文がその後出版されなくなったといった経験もあったりします。相当恨まれたと思いますが、狂気の世界に身を置いているということです。
しかし、プライベートとなると別です。どんな人とも全面対決は避けたいものです。どんな船にも母港が必要です。
ですが、誤解がそのまま放置されるのもどうかと思いますので、この記事を投稿します。
朝日ウットテックさんのWebで紹介されているように、EBコートは、オレフィンシートの一部が電子線(EB)によって硬化しているものです。
朝日ウットテックのカタログではEBオレフィン(EBコート+ナチュラルテイストオレフィンシート)と書いてあり、EBコートと書いている部分はオレフィンシートが硬化した部分に対応します。
つまり、断面で見ると、0.1mm程度のオレフィンシートの一部がEBコート層となります。当然材料は同じですから、特殊な顕微鏡で観察すれば簡単ですが、普通の顕微鏡の観測からEB硬化した層と硬化していない層を判断することは難しい作業となります。
永大産業さんのカタログのスケールが正しいとすると、半分くらいはEB硬化してそうな感じです。つまり、この場合、UVコートとそれほど厚さが変わらないことになりますね。
硬化している層の厚さは色々とありそうですが、少なくとも普通の顕微鏡観察から、EBコートの厚さを見積もることは極めて難しいことは間違いないでしょう。つまり、普通の顕微鏡観察からEBコートが極めて薄いコートであると断定することはできません。
なぜこんな誤解が生じてしまったのか? ですが、オレフィンシートの一部が硬化したのがEBコートであるのにもかかわらず、あたかも別物のEBコート層が存在するかのようなミスリーディングな説明が問題であったように感じます。
私自身、個人を批判する気持ちはサラサラありません。ただ、EBコートに対する誤解が解け、これから家を買う人が冷静に判断できるようになるキッカケを与えることができればと考えているだけです。
お気を悪くされた方も多いと思いますが、一般常識を知らないトグザレ科学者の戯言ですので、どうかお許しください。